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映画「LOOPER/ルーパー」考察(途中ネタバレあり)

ジョセフ・ゴードン=レヴィット、ブルース・ウィルス出演のSF映画「LOOPER/ルーパー」を先日鑑賞しました。

未来からタイムマシンで送られてきた標的を消す、“ルーパー”と呼ばれる殺し屋のジョー(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)。ある日、ジョーのもとへ送られてきたのは、何と30年後の自分(ブルース・ウィリス)だった。ジョーは、未来の自分の殺害をためらい逃がしてしまうが、その後未来の自分から、やって来た理由を明かされ……。(画像、あらすじの引用元:シネマトゥデイ

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ネタバレなしの純粋な映画の感想・評価は私のFilmarksを見てください。

filmarks.com

 

以下、Filmarksの感想で述べたタイムトラベルに関して思った疑問点や矛盾について考察していきたいと思います。

 以下ネタバレあり。

 

まず、登場人物の紹介。

ヤング・ジョー:2014年現在のジョー、現役ルーパー

オールド・ジョー:2044年のジョー、元ルーパー、妻の殺害を阻止すべく若きレインメーカーを殺したい

レインメーカー:2044年での犯罪組織の長、ルーパーに恨みがありすべてのループを閉じる

シド:2014年の幼少時のレインメーカー、テレキネシスを使える、テレキネシスのコントロールができず育ての母(サラの姉)を殺してしまった

サラ:2014年時シドの実の母、シドを産んでからは姉にシドを預け遊びに暮れる、姉が死んでからは回心しシドのもとに戻る

 

次に、タイムトラベルがどういう設定かということについて。タイムトラベルというものは様々な描かれ方をします。世界は一つであり過去にタイムトラベルして自分に合うと消滅したり、同じ世界でも運命で決められているから過去に戻っても未来を変えられなかったり、パラレルワールドがあって過去や未来に行っても自分の世界には影響を与えなかったり様々です。この映画はというと、冒頭のセスのシーンや、ヤング・ジョーの行動や体の傷が即座にオールド・ジョーに反映される点で、世界は一つでありながらも多面的であり過去は未来に影響を与え続けるということがわかります。無限にパラレルワールドが存在しつつもすべてが同じ様に在るといったイメージですかね。

 

ではストーリーについて考えます。オールド・ジョーがタイムトラベル(以下TT)をする目的は妻の殺害を阻止すべく若きレインメーカーを殺すためです。シドを殺せば妻は殺されずにすみ、妻を失うこともない。(2014年にはタイムマシンはないので未来に戻ることはできないはずだがそこは目をつむろう。)

もともとシドがレインメーカーになった理由は、ヤング・ジョンの予知のシーンによると、サラがシドをかばってオールド・ジョンに殺されたからです。つまり、オールド・ジョンがTTをするためには、オールド・ジョンがTTをしていなければいけない、ということになります。オールド・ジョンは初めてTTをしたはずなのに、すでにTTをしたことがなければならない。これでは原因が行動に影響を与えるという時間軸での矛盾が生じます。行動が原因に影響を与えているからです。世界は一つであるという設定と矛盾します。

では私の設定の理解が乏しくて、実はパラレルワールドだったということで考えてみましょう。ラストのシーン、ヤング・ジョンは未来を察して自殺します。すると、オールド・ジョンは跡形もなく消え去ります。ヤング・ジョンが死ぬことでオールド・ジョンは存在しなかったことになります。このことからやはり世界は一つであったことがわかります。ゆえに矛盾しています。

では、この世界は一つであるという設定でオールド・ジョンが矛盾なくシドを殺す方法は、ヤング・ジョンに殺させることです。そうすれば妻は殺害されないでしょう。しかし、妻が殺害されなければTTする必要もなく、TTしなければヤング・ジョンはシドを殺さないため、やはり妻は殺害されます。矛盾ですね。

 

以上、どう考えてもこの映画の設定とストーリーには矛盾が生じます。そのことを鑑賞後に気になってしまって少し後味が悪く感じました。この映画はタイムトラベルをメインに描くものではないのですが、鑑賞者に違和感を簡単に気づかせてしまったのは残念でした。その他のストーリーや展開はとても面白かったです。ハードボイルドなジョセフ・ゴードン=レヴィットを見ることもできますよ。